そのりんごがなによりおいしかったのを憶えています。
相変わらず僕の頭の中は受験のことしかありませんでしたが、母親は「もう受験はあきらめなさい」と時間をかけてさとすつもりで僕と話をしていたように思います。
永井看護師もときどき様子を見に来てくれました。
一度永井看護師に「なんで僕、こんなところにいるんだろう」とつい本音をつぶやいてしまったことがありました。
永井看護師は無言で立ち去りしばらくして戻ってきて、「オセロやろ!」と忙しい中時間を作って遊んでくれました。何もしゃべらずオセロを夢中でしました。
その時間はめまいのことを完全にわすれていました。勝敗は永井看護師の勝ち。「年の功ね」と言って二人で笑いました。
孤独を感じる時間が少なくて済んだのは何より母とそして永井看護師のおかげです。本当に本当に感謝しています。
もう一つ入院中、印象に残っていることはテレビ中継されたボクシングの辰吉丈一郎の復帰戦です。
網膜はく離を克服しての試合でした。患者さんみんなで見ました。看護師さんの中には「殴り合いを見るなんてよくないわ」と品のいい看護師さんもいましたがみんなで見守りました。
結果は確か、薬師寺の勝ちだったと記憶しています。
でも「もう引退だ」と評論家に言われていたにもかかわらず、それでもあきらめずボクシングを続けた辰吉丈一郎に自分を投影させ『僕も必ずめまいを克服して社会復帰する』と力をもらったのはっきりと憶えています。
超一流のスポーツ選手というのは時にスポーツの勝敗を超えた感動を私たちに与えてくれます。でも、運動音痴なのでやろうとはおもいません(笑)
タグ:めまい
【病気カテゴリの最新記事】

